安倍前首相を任意聴取
安倍晋三前首相の後援会が、「桜を見る会」前夜に東京都内のホテルで開催した夕食会の費用補填(ほてん)をめぐり、東京地検特捜部が安倍氏本人から任意で事情聴取していたことが分かった。
首相経験者が、検察当局の聴取を受けるのは極めて異例。
特捜部は、政治資金収支報告書への補填額不記載は、安倍氏の公設第1秘書が中心となって決めたとみているが、安倍氏に一連の経緯や、補填を否定した自身の発言などについてただしたとみられる。
聴取を受け、特捜部は近く、政治資金規正法違反(不記載)容疑で第1秘書らの刑事処分を判断する。
安倍氏は4日、国会内で記者団に「誠意をもって対応していく」と述べ、聴取に応じる意向を示していた。
5.7万年前のオオカミの子 カナダ永久凍土から発見
カナダのユーコン準州で、解けた永久凍土から約5万7000年前のミイラ化したオオカミの子が見つかった。
これまで発見された、ミイラ化した古代オオカミでは最も完全な状態という。論文は米科学誌カレント・バイオロジー電子版に掲載された。
この子は雌で、鼻から尾の付け根までの長さが41.7センチ、重さ670グラム。初夏に生まれ、乳離れして間もない生後約7週間とみられる。
死後、別の動物に食べられたり、腐敗したりしなかった理由は、巣穴から母親やきょうだいが外に出て、この子だけ残っていた際に巣穴が崩れ、即死した可能性が考えられる。
発見場所近くには川が流れており、秋にはサケ類が産卵のためさかのぼる。
毛や歯に含まれる炭素や窒素の安定同位体を分析したところ、母親がサケ類を食べ、この子に授乳していた可能性が示された。
DNAを解析した結果、この子はこの地域に現在生息するオオカミの直接の祖先には当たらず、当時シベリアや北米大陸北西部に生息していたオオカミの集団に属していた。
この集団は地続きだったベーリング海峡を往来していたとみられる。
三菱UFJ頭取に「半沢氏」 池井戸潤さんとは同期
三菱UFJ銀行が、半沢淳一取締役常務執行役員(55)を頭取に昇格させる人事を固めたことが、分かった。
副頭取や専務13人を抜いての登用となる。
三毛兼承頭取(64)は親会社の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)で会長に就く。
半沢氏は「倍返しだ」の決めぜりふで知られる「半沢直樹」シリーズの原作者池井戸潤さんと、旧三菱銀行(現三菱UFJ銀行)の同期で、名前の由来となったとされる。
半沢氏は経営の中枢である企画畑を歩み、トヨタ自動車など有力企業が集う中部地方で営業本部長も務めた。
昨年からはコンプライアンス(法令順守)担当トップとして、マネーロンダリング(資金洗浄)といった金融犯罪の対策を担当している。
袴田事件 再審取り消し見直し
静岡県清水市(現・静岡市)で1966年に、一家4人が殺害された「袴田事件」の第2次再審請求特別抗告審。
強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さん(84)について、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は、再審開始を認めなかった東京高裁決定を取り消し、審理を同高裁に差し戻す決定をした。
小法廷は、「犯行時の衣類に付着した血痕の色に関し審理が尽くされていない」と判断した。
5人中3人の裁判官の多数意見で、2人は「再審を開始すべきだ」とする反対意見を付けた。決定は結論の方向性を示しておらず、再審が認められるか否かは、差し戻し審での審理次第となる。
袴田さんは、静岡地裁の再審開始決定を受け2014年3月に釈放された。
決定を覆した東京高裁も、執行や拘置の停止は取り消しておらず、今後も釈放は維持される見通しだ。
小法廷は、事件から約1年2カ月後に、現場近くのみそタンクの中から発見された袴田さんの「5点の衣類」と、それに付着した血痕の色について検討。
衣類発見時の実況見分調書には「濃赤色」などの記載がある一方、弁護側による再現実験では、みそ漬けにした衣類に付いた血痕は6カ月後に黒色に近くなったとし、血痕の色は専門的知見に基づき検討する必要性があると指摘した。
その上で、弁護側が高裁段階で主張した醸造中のみそが褐色化する「メイラード反応」について検討。
弁護側が提出した意見書は、血痕が黒っぽく変化したのも主に同反応の影響だとしたが、高裁はこの点について審理を尽くしておらず、「袴田さんの犯人性に合理的な疑いを差し挟む可能性が生じ得るのに、影響を過小評価した誤りがある」と結論付けた。