フォルクスワーゲンが次世代技術に9兆円
ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は、2021~25年の5年間で、電気自動車(EV)やデジタル化といった次世代技術に730億ユーロ(約9兆円)を投資すると発表した。
20~24年に600億ユーロを投じるとした昨年時点の計画から2割超増やした。
EVや自動運転に対する消費者の関心が高まる中、中国政府が35年にEVを新車販売の主流にする方針を掲げるなど世界で技術開発競争が熱を帯びている。VWは多額の資金をつぎ込んで主導権を握りたい考えだ。
自動運転などで不可欠なソフトウエアの開発を加速するため、デジタル化の分野にこれまでの計画の2倍となる270億ユーロを費やす。ディース最高経営責任者(CEO)は「自動車向けソフトでトップの地位となることが今後重要になる」と強調した。
この他、EV関連には350億ユーロ、ハイブリッド車(HV)に110億ユーロをそれぞれ投資。30年までに約70車種のEVと約60車種のHVをそろえ、累計でEVは2600万台、HVは700万台を生産する計画だと説明した。
連合、来春闘でベア2%要求へ
労働組合の中央組織である連合が令和3年の春闘の統一要求で、従業員の基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)の水準を「2%」とする方向で最終調整に入ったことが、分かった。
「2%」の表現を盛り込んだベアの要求は7年連続。新型コロナウイルス感染拡大の悪影響で業績が低迷する企業も多いが、これまでと同水準の要求を維持して賃上げの流れを継続させる。さらに非正規やパート労働者らの賃金・待遇を引き上げ、格差是正につなげたい考えだ。
連合は新型コロナの影響で経済状況が見通せないとして、例年とは異なり、10月中旬に公表した春闘方針の「基本構想」に賃上げの数値目標を明記しなかった。コロナ禍で赤字に陥る大企業が続出する中、例年と同じ水準の要求が理解されるかを懸念していた。
しかし日本では構造的に生産年齢人口の減少が続き、今後の経済再生化には人材の確保、育成が欠かせないことを重視。「雇用の問題と賃上げを二律背反でとらえるべきではない」との立場から、雇用を守りながら賃上げも継続すべきだとの判断を明確にした。
国民投票法の今国会成立を
安倍晋三前首相は、憲法改正に関し「今国会で国民投票法改正案を成立させるべきだ。本気でやるべきだ」と語った。日本学術会議については、政府から切り離して民間組織にすべきだとの考えを示した。
改憲を掲げた安倍政権下で提出された同改正案は、継続審議を繰り返し今国会が8国会目。安倍氏は「ある程度合意されている価値中立的なものだから、淡々と成立させればいい」と述べ、今国会で採決すべきだとの考えを示した。
学術会議の任命拒否問題については、「(首相在任時)強い関心を持っていなかった。課題は認識していたが事務方に任せていた」と振り返り、会員の推薦名簿も見たことがないと語った。その上で、会員の任命は「推薦通りでなくてもいいのではないか」と菅政権の対応に理解を示した。
同時に「学術会議は完全に民間の活動としてやられた方がいい」とも主張。安全保障分野の研究に否定的な同会議に「税金を入れるべきなのか」と述べ、国費投入の見直しも選択肢との見解を示した。
来年秋に想定される自民党総裁選をめぐっては、「次期総選挙で菅義偉首相が勝てば続投するのは当然だ」と述べ、「与党で過半数」なら総裁選を実施する必要はないとの考えを示した。
菅政権の外交に関しては「菅流の外交を展開されればいいが、できることがあればぜひ協力したい」と語った。一方、自身の3度目の首相登板は「それはない」と否定した。
英国のラスプーチン更迭
英国のジョンソン首相は、最側近で「影の首相」「英国のラスプーチン」などと呼ばれたドミニク・カミングズ首席特別顧問を事実上、更迭した。
2016年の国民投票で英国を欧州連合(EU)離脱に導いた立役者だが、対立や分断を生む政治手法に政権内で不満が高まっていた。
英メディアによると、ジョンソン氏が辞職を求め、応じたという。12月半ばまで雇用関係は続くが出勤はせず、事実上、13日付での解任とみられる。官邸人事をめぐる対立が引き金となった模様で、英紙タイムズは「強硬離脱派が権力を独占した一時代が終わった」と報じた。
カミングズ氏は16年の国民投票で「主権を取り戻す」との標語を考案し、ジョンソン氏と共に離脱派を勝利に導いた。
昨年7月にジョンソン氏が首相になると首席特別顧問に就任。年末の総選挙では「離脱をやり遂げる」という標語で大勝。サッチャー政権以来という安定多数を獲得し、メイ前政権の下で迷走したEU離脱を今年1月に達成した。