今も残る自決現場 三島由紀夫没後50年
作家・三島由紀夫=当時(45)=が、主宰する「楯(たて)の会」の会員と陸上自衛隊市ケ谷駐屯地に立てこもった三島事件は25日で50年。
自決した東部方面総監室があった「1号館」は現在、「市ケ谷記念館」として防衛省(東京都新宿区)の敷地内に移設、復元されている。
総監室の扉には三島が自衛隊員ともみ合った際に付いた刀傷が刻まれ、半世紀前の事件を今に伝える。
記念館は、同省を見学する「市ケ谷台ツアー」のコースに含まれる。旧陸軍大臣室だった総監室の部屋中央には1号館の模型が置かれており、三島が演説したバルコニーも窓越しに見えるが、扉に残る刀傷3カ所以外に事件を示す資料はない。
記念館には、極東国際軍事裁判(東京裁判)の舞台となった大講堂などもある。
陸自滝ケ原駐屯地(静岡県御殿場市)には、三島が詠んだとされる和歌が刻まれた石碑がひっそりとたたずむ。同駐屯地によると、和歌の意味と建立の経緯は不明という。同駐屯地の広報資料室には「三島コーナー」が設置され、「限りある身の力ためさん」との直筆看板や三島が体験入隊した際の写真なども飾られている。
水素旅客船 万博会場と大阪市内を結ぶか
岩谷産業は、水素を燃料とする船舶の商用化に向けた検討を関西電力などと始めると発表した。
船舶は水素電池を燃料とし、航行時に二酸化炭素(CO2)を排出しない。2025年大阪・関西万博の開催期間中に旅客船として運行し、万博会場の人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市)と大阪市内沿岸部の観光地などを結ぶことを目指す。
産業用水素で国内トップシェアの岩谷産業が中心となって検討を進める。関電が効率的なエネルギーシステムの開発を担うほか、名村造船所や日本政策投資銀行、東京海洋大学など計約10機関が建造や資金供給で協力する。
開発する旅客船は総トン数約60トン、全長約30メートルで、100人程度を定員とする予定。水素燃料電池を主な動力源としてCO2が発生せず、通常の船舶に比べて臭いや騒音も低減するという。岩谷産業は水素自動車用の水素ステーションを運用してきた経験を生かし、船舶用のステーション開発も検討する。
令和6年から実証実験を始め、万博までの商用化を目指す。将来的にはクルーズ船として長距離航行も視野に入れる。
安倍氏招致「国会で判断を」
衆院予算委員会は午前、菅義偉首相と関係閣僚が出席して集中審議を行った。
首相は、安倍晋三前首相の後援会が主催した「桜を見る会」前夜祭をめぐる問題で、野党が求めている安倍氏の国会招致について「国会で決めることだ」と述べるにとどめた。
前夜祭をめぐっては、参加者が払った会費と実際の経費の差額を補填し、2015年から昨年までに総額800万円超をホテル側に支払ったことを安倍氏側が認めている。安倍氏は首相当時、契約主体は参加者個人で、安倍事務所は仲介しただけだと国会で説明していた。
首相は「刑事告発に対応した検察の捜査に安倍事務所として全面的に協力し、その趣旨を(安倍氏が)述べている」と強調。
これに対し枝野氏は、首相が官房長官当時、安倍氏の見解に沿った答弁をしていたことを念頭に「知らなかったとの言い訳は通用しない」と責任を追及。首相は「私自身、安倍前首相が国会で答弁された内容について、(安倍氏に)確認し答弁してきた」と反論した。
一橋大「アウティング」訴訟 2審も大学の責任認めず
同性愛者であることを同級生に暴露される「アウティング」被害を受けた後に、転落死した一橋大法科大学院生の男性(当時25)の両親が、同大学に約8500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が25日、東京高裁であった。
村上正敏裁判長は、一橋大側の責任を認めなかった一審・東京地裁判決を支持し、両親の控訴を棄却した。
判決は同級生によるアウティングについて「(男性の)人格権やプライバシー権を著しく侵害し、許されない行為であることは明らか」と指摘した。その上で男性から相談を受けた教授や、大学のハラスメント相談室職員らの対応に問題はなく、大学側に義務違反は認められないと判断した。
男性は2015年4月、同性の同級生に恋愛感情を伝えた。同級生は6月、友人が入る対話アプリ「LINE」のグループで「おまえがゲイであることを隠しておくのムリだ。ごめん」と男性が同性愛者であることを暴露。男性は8月に校舎から転落死した。
19年2月の一審・東京地裁判決は、男性から相談を受けた教授の対応について、「男性の苦しみに共感を示している」と指摘し、両親の請求を退けた。両親は暴露した同級生も提訴し、既に和解が成立している。
ペンギン、サイモン買収 米出版シェア3割超に
ドイツのメディア大手ベルテルスマンは、傘下の米出版最大手ペンギン・ランダムハウスが同業サイモン&シュスターを21億7500万ドル(約2270億円)で買収すると発表した。米メディアによると、統合すれば米出版市場でシェアが3割を超える。
米メディア大手バイアコムCBSは傘下のサイモンを売却し、インターネットの動画配信事業の強化に集中する。来年中に手続きを完了させる予定。
サイモンは1924年に設立し、米出版で3番目の規模。人気作家のスティーブン・キングを抱え、ヘミングウェーや、米紙記者ボブ・ウッドワードらがつづった「大統領の陰謀」などでも知られる。
ペンギンは、人気作家ジョン・グリシャムを抱え、最近ではオバマ前米大統領の回顧録「約束の地」を出版した。